陰にて光咲く
俺もアズマといて楽しいと思った時がある。
焼肉屋行って食い逃げして、誰のかわからないバイク乗って逃げ切った時はスリルあったし快感を味わえた。
あんなこと、アズマとじゃなきゃできないし。
初めて悪さして、楽しいと思った。
「俺もアズマといて楽しいと思う時あるよ。何度か変な奴だと思った時あるけど、本当はまともなとこもあるってこと知ったし」
今、アズマに対して思ってることを正直に言った。
それを聞いたアズマは嬉しそうに笑い、
「拓夢からそう言われるとすげー嬉しい。マジでお前と出会えてよかったわ」
と言った。
これからもこんな風に、普通の友達でいられればいい。
この時はまだそう思っていた。
「なあ、拓夢は友達何人くらいいる?」
急なアズマからの問いかけ。
そんなこと何人て正確にはわからない。
「うーん…中学、高校でまだ繋がってる奴いるからけっこういるのかな」
「そうなんだ。俺、中学はあんまいい思い出ないし高校も中退したから、本当に友達って呼べる奴いねーからさ…拓夢が羨ましいよ」
「何言ってんだよ!友達なんて数じゃねーし、俺は1人でもいたらそれで充分だと思うよ」
曇っていたアズマの表情は、俺の言葉によって明るくなった。