夜の甘やかな野望
「じゃなくて、倫子さんに対しては、自信が無い方」
長い溜息をついた。
「倫子さんそのものは信頼している。
でも環境とか時間の経過とか体験とか、色々なことが影響して、考えることは変化するから。
だから確認しただけ」
倫子はしばらく黙ってから居ずまいを正した。
「ごめんなさい。
私がこんなばっかりに、ご両親に気に入られず、マンションと仕事を取り上げられたってことですよね。
別れますか?」
宗忠はふふっと笑った。
「そうじゃなくてね。
父は遊びほうけて、勝手なことばかりする息子に切れただけって感じ。
これまでの行いの自業自得かなあ。
お友達をたくさん作らず、品行方正に生きていたら、すんなりいったと思う。
倫子さんが“こんなばっかり”って卑屈になるのは間違い」
「あー確かに。
親だったら怒りたくなるかもしれないですね」
嫌味たっぷりに言うと、宗忠は“えーっ”と反抗的な声をあげた。