夜の甘やかな野望
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新しい勤め先を見つけるのに苦労をしているようだった。
まあ、わかっていたこと。
宗忠はさっぱりと言っていた。
父親が手を回すことを十分に予想していたらしかった。
厳しい状況に萎れるかと思っていたら、外見に似合わず、肝が据わっているらしかった。
「できれば避けたかったんだけど、やっぱり関東圏からは外れないと駄目みたい」
苦笑して、倫子の肩にあごを載せた。
「倫子さんと離れなくてはいけなくなっちゃうから、嫌だったんだけど」
ふうとため息をつく。
「食べてかなくちゃいけないしね~」
言葉の割には切迫感がない。
稼ぐという苦労をよくわかっていないのかと思ったが、達観している方らしい。