夜の甘やかな野望


      *


新しい勤め先を見つけるのに苦労をしているようだった。


まあ、わかっていたこと。


宗忠はさっぱりと言っていた。


父親が手を回すことを十分に予想していたらしかった。


厳しい状況に萎れるかと思っていたら、外見に似合わず、肝が据わっているらしかった。


「できれば避けたかったんだけど、やっぱり関東圏からは外れないと駄目みたい」


苦笑して、倫子の肩にあごを載せた。


「倫子さんと離れなくてはいけなくなっちゃうから、嫌だったんだけど」


ふうとため息をつく。


「食べてかなくちゃいけないしね~」


言葉の割には切迫感がない。


稼ぐという苦労をよくわかっていないのかと思ったが、達観している方らしい。
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