夜の甘やかな野望
「うん、ごめんね。
ちょっと昔、祖父に聞いたCMの話を思い出して」
「どんなCMです?」
礼儀として聞いてみた。
「んー、毎日、仕事は全然やらないのに、5時に退社すると、飲み会とか宴会では元気に活躍する会社員を揶揄するCM。
バブル期の話をしていたら、社会現象として教えてくれた。
知ってる?」
「知りません。
よくクビにならないですね」
「バブルって、そんなだったみたいだよ。
祖父も毎晩毎晩、料亭で接待を受けて、週末はゴルフだったらしいし」
「今じゃ、考えられないですね。
まあ、外と交流があるのはうらやましいですけど」
「倫子さん、接待とか好きなの?」
「別にそういう意味じゃないですけど」
倫子はぶつぶつと呟いて、宗忠宛ての郵便物をデスクに置いた。