夜の甘やかな野望
その様子に、いい子いい子と頭をなぜたら、開いたリビングのドアの向こうからトリュフが飛んできた。
とっさに受け止めると、手の中で崩れて、スタッフィングがべっとりとつく。
「げっ」
思わず呟いたが、投げた宗雅は知らん顔をしてソファーに座り、コーヒーカップに口をつけている。
「たーちゃん、来たんですって?」
そこへやってきた母親は、宗忠の掌を見て目を丸くした。
「まーくん」
きっと目を吊り上げても、宗雅は知らんぷりをしたままだ。
「食べ物を粗末にしちゃダメでしょう」
「してない。
宗忠に分けてやったら、そいつが握りつぶしただけだし」
どこの小学生だよ。
内心で罵倒して、ティッシュでチョコレートをぬぐいながら、改めて兄の向かいのソファーに腰をおろした。