夜の甘やかな野望
「とがってんな」
どっちが、と思ったが、宗忠はまあねと返した。
コーヒーカップを手にしたまま、なめらかな光の帯びた黒い瞳がじっと宗忠に止まる。
「なに?」
「いいや」
ぞんざいに投げると、静かに返されて、思わず嫌味を言う。
「気色わりーの」
「どっちが」
「なんでだよ」
「はまってっから」
宗雅がくすりと笑った。
少し目が細まり流し目のようにこちらを見、くちびるの両端が持ち上がる。
相変わらず、兄にはぞくりとする色気がある。