エースとprincess
谷口主任の降車駅で一緒に降りた。そこからバスを使えばいいと思っていた。
「姫里のところまでのバスって、この時間、本数少ないだろ。タクシー使えば」
「うん、でもだいじょうぶです」
家の近所までの本数はないけど、ナオの家までならけっこうでている。ナオの家はバス停のある通りに面していて道も明るいし、自宅に帰るよりよほど安全だった。
「まずいって。そんな悠長なこと言ってると……」
谷口主任はどこか慌てた様子で空を見上げた。私もそれに倣った。雲でもあるのか星どころか月も見えない。
「雨ですか?」
「天気予報見ないの?」
「見ますけど覚えてないっていうか」
「星占いかよ」
「ですね……あっ」
言ってるそばからぽつぽつ降ってきて、それが一気にざあざあ降りに変わった。様子見で逃げこんだ木立ちでは雨除けにならず、タクシー乗り場の屋根はもともとの順番待ちの人たちでいっぱいだったから駆け込むこともできない。
どうしようかと聞くまえに決定事項を言い渡された。
「行くぞ」
「どこへ」
「俺の家」
「姫里のところまでのバスって、この時間、本数少ないだろ。タクシー使えば」
「うん、でもだいじょうぶです」
家の近所までの本数はないけど、ナオの家までならけっこうでている。ナオの家はバス停のある通りに面していて道も明るいし、自宅に帰るよりよほど安全だった。
「まずいって。そんな悠長なこと言ってると……」
谷口主任はどこか慌てた様子で空を見上げた。私もそれに倣った。雲でもあるのか星どころか月も見えない。
「雨ですか?」
「天気予報見ないの?」
「見ますけど覚えてないっていうか」
「星占いかよ」
「ですね……あっ」
言ってるそばからぽつぽつ降ってきて、それが一気にざあざあ降りに変わった。様子見で逃げこんだ木立ちでは雨除けにならず、タクシー乗り場の屋根はもともとの順番待ちの人たちでいっぱいだったから駆け込むこともできない。
どうしようかと聞くまえに決定事項を言い渡された。
「行くぞ」
「どこへ」
「俺の家」