傷痕~想い出に変わるまで~
食事を終えてコーヒーを飲みながら、どうやって話を切り出そうかと考えた。

あの時はごめん、とか突然言ってもなんのことかわからないだろうし、岡見と小塚にいろいろ聞いたことは伏せておきたいから、何から話せばいいのかと悩む。

「昨日、小塚から電話もらった。」

光は顔を上げることなくそう言ってコーヒーを飲んだ。

「えっ…。」

昨日っていつ?

私と話す前?

それとも話した後?

「瑞希に俺のこと聞かせてくれって頼まれたけど、勝手に話していいかわからないから電話したんだって。だから本当のこと全部話していいって言った。」

「…ごめん。」

「瑞希が謝ることないよ、謝るのは俺の方だ。この間居酒屋で会った時に嘘ついたこと、後ろめたかったし…。ちゃんと本当のこと話して謝りたかったから。また瑞希に嫌われるのが怖くて嘘ついた。ごめんな。」

「……。」

もうずっと前に別れたんだし、今更私に嫌われたってどうってことはないはずなのに。

黙っててくれと小塚に頼めば、私は光の話が嘘だとは気付かなかったのに、なぜそれをしなかったのか。

「瑞希は俺より仕事が大事なんだって子供みたいに拗ねて…俺を必要としてくれるなら誰でもいいってやけになってさ。男のくせにカッコ悪いな。」

「光が他の人を選んでもしょうがない状況を作ったのは私だと思う。光がつらかった時に私はそれに気付けなかったし、ちゃんと話も聞かないでひどいこと言ったから、それを謝りたかったの。ごめんなさい。私は全然向き合おうとしなかった。」
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