傷痕~想い出に変わるまで~
私が頭を下げると光は首を横に振った。

「俺、本当にバカだった。一緒にいたかったのは瑞希が好きだったからで、誰でも良かったわけじゃないのにな。別れてしばらく経って冷静になってからやっとそれに気付いて…ずっと後悔してた。」

「……うん。」

「瑞希の代わりなんて…瑞希以上に好きになれる人なんて、どこにもいなかったよ。こんなに好きなのにもう会えないんだって思うと苦しくて、その原因を作った自分が許せなくて…もう生きてるのもつらくなって死のうとした。」

どんな顔をして聞けばいいのかわからなくて、自然とうつむいてしまう。

「大量に睡眠薬飲んで朦朧としてる時に夢の中で瑞希に会ってさ。」

「私に…?」

「約束やぶってごめんって言おうと思ったら“バカ!!なんでこんなことしたの?!”って、瑞希が泣きながら怒ってくれたから…会ってちゃんと謝らなきゃって思ったら死ねなかった。」

「うん…。」

「どんなに罵られてもいいから、瑞希に会いたいって思ったんだ。ずっと会いたかった。瑞希が……好きだから。」

え……?

今、なんて言った…?

驚いて顔を上げると、光の真剣な眼差しに捕らわれた。

目をそらすこともできず息を飲む。

息をするのも忘れてしまいそうなほどの緊張に耐えかねて思わず立ち上がった。

「もう時間も遅いし…そろそろ出よう。」

伝票を取ろうとするとそれより早く光が手を伸ばした。

「今日は払わせて。誘ったのは俺だから。」


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