傷痕~想い出に変わるまで~
「初めて瑞希を裏切った時、すごく後悔した。それなのにまた同じことをくりかえした。自分でも最低だと思うけど、俺は瑞希の代わりにそばにいてくれる人が欲しかったんだ。」

「うん…。」

「別れてからずっと後悔してた。何もかもやり直せたらいいのにって。そうすれば瑞希を二度と離さないのにって、ずっと思ってた。」

光の言葉を聞きながらミルクティーの缶を握りしめた。

どんなに悔やんでもお互いの心の傷痕は消せないのに。

私にはうなずくことも首を横に振ることもできない。

何もかもやり直せたらいいのにと思ったのは光だけじゃない。

私だって何度もそう思った。

「今更過ぎることも、自分勝手なこともわかってる。でも俺はやっぱり瑞希が好きなんだ。」

光の手が膝の上に置いた私の手をギュッと握った。

どうすればいいのか、どう答えていいのか、頭の中が真っ白になって何も考えられない。

「もう昔みたいには戻れないよ…。」

「わかってる。でも好きなんだ。何も言わずにこのままあきらめて後悔したくない。二度と瑞希を悲しませるようなことはしないから、もう一度俺と付き合って欲しい。」

もう一度…?

光と一緒に同じ未来を目指して歩くことが、今の私にできるだろうか。

「急にそんなこと言われても困る…。」

「それもわかってる。ゆっくりでいい。昔じゃなくて今の俺を見て考えてくれないか。」




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