傷痕~想い出に変わるまで~
光と別れて3ヶ月が過ぎた。

暑かった夏がもう終わろうとしている。

出先からの帰りに買ったペットボトルのアイスカフェオレには、線香花火のおまけが付いていた。

線香花火か…懐かしいな。

光は九州で元気にやっているだろうか?

別れて1ヶ月ほどが過ぎた頃、一度だけ電話があった。

転勤先での生活もようやく落ち着いたとか、まだ職場と自宅の往復くらいで周辺のことはよくわからないと言っていた。

そして電話を切る前に、“瑞希、愛してる。幸せになれよ”と言った。

その後、光からの連絡は一度もない。

光にも幸せな未来が訪れるといいなと思う。



それから2ヶ月が経った頃。

その知らせはあまりにも突然舞い込んだ。


“光が死んだ”


小塚からの電話で光の死を知ったのは、光が亡くなってから既に2ヶ月が過ぎてからだった。

その知らせを受けた時、あまりにも信じられなくて何度も耳を疑った。

光は膵臓ガンに冒されていたのだそうだ。

九州に転勤になったと光は言っていたけれど、本当は病気が悪化して医者から余命半年の宣告を受け、仕事を辞めて実家に帰ったらしい。

私と再会した時には既に病を患っていたんだそうだ。

まだ若いこともありガンの進行が早く、気付いた時にはかなり深刻な病状だったと言う。

それを聞いて、なぜあんなに光が私に執着したのかがわかった気がした。

一度は自ら絶とうとした命だけど、私と再会してから死ぬのが怖くなったと光は小塚に言ったらしい。

その時、小塚は光がガンに冒されていたことを知らなかったそうだ。

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