幾年の愛を


「静まれグリモア…ミカエル…」


その声も姿も采羽なのに…俺は起きていた采羽を恐ろしく
感じてしまった。


「やってくれたな伏見枯捺…ただですむと思うなよ」


「お前は…」


真ん中に立っている采羽は場違いのように笑っていた。


「あまり『妹』の体を使いたくはない…
だから、言いたいことだけ伝えておく。
俺の妹を傷つけた代償は高いからな」


妹?それって…


「要か?お前…」


「さぁな?…クロウ=レイヴェン…妹を頼んだぞ」



そう言ってからまた意識を手放した采羽は
クロウに倒れてきた。


「今はやめておこう…だが、次はない」



他の悪魔とともに消えていった伏見枯捺。
それと同時に部屋の中からも冷気が
消えていった。


「帰るぞ…早く采羽を」


「わかっている」







    side紅葉 end







  
< 73 / 135 >

この作品をシェア

pagetop