桜の舞う世界
「分かりました、失礼します」
メイドは頭を下げ部屋から退出した
「お母様……」
初めてお母様の泣き顔を見たわ
初めて、お母様の笑顔を、美しい笑顔が見れた
でも、お婆様が……亡くなってしまった
「素直に喜べないわ…」
はぁ………
最近、ため息が多く出るわね
「ため息は禁物、よね」
気分転換にベランダへ出る
夜中にもなると寒さが増すのね
「寒いわ…」
もう一度上着を着ようと袖を通す
すると、白い何かがポケットから落ちた
「これは、お婆様から私への手紙だわ…!」
お母様の事でいっぱいで忘れていたわ。
「お婆様からの手紙…」
緊張しているからなのか、
手紙を開く動作さえスローモーションに見えた