桜の舞う世界










一応ドアを叩く







コンコン








「どなたかしら」





中から聞こえたのはお母様の声だった








「桜湖です」







「お入りになって」







ガチャ……








「桜湖、遅いわね」







「すいません。夜風に当たっていたら遅くなってしまいました」






「気分でも悪いのかしら?」






「いえ、大したことではありませんので」





「そう」






「それより、早く乾杯をしようではないか」





そう言ったのはお父様






「そうですね、遅くなってしまいすみません」




「遅くなってしまうことは良くあることだ」





そう言ってガハハと笑うお父様






< 62 / 310 >

この作品をシェア

pagetop