鬼上司は秘密の恋人!?
二歳年上の姉、由奈は私にとってたったひとりの家族だった。
七年前、私がまだ高校生だった時、突然の交通事故で両親を無くしてしまった私たちは、いつも強く手を繋いで、ふたりで悲しみや孤独を乗り越え生きてきた。
突然呼び出され訳も分からぬままたどり着いた病院のベッドの上で、冷たくなった両親の遺体を見た時。
事故現場に残されたガラスの破片。
アスファルトにこびりついた黒いタイヤのブレーキ痕、赤黒い血液の流れた跡。
なんの実感も無いまま学校の制服を着て、ぼんやりと立ち尽くしていた両親の葬儀。
家の中に残された両親の思い出を整理して泣きながら引っ越しの準備をした時。
最後、家を出る時ふりかえって見えた、からっぽになったひと気のない家の中……。
いつも、悲しくて悲しくて叫びだしたくなった時は、隣にいた由奈の手を、ちぎれるくらい強く握った。
ひとりだったら耐えきれなかった。
由奈がいたから生きてこられた。
由奈とふたりで小さなアパートで暮らし、私は両親の残してくれた保険金で高校を卒業し働きはじめた。
由奈が妊娠しているとわかったのは、その頃だった。