鬼上司は秘密の恋人!?
確かに、一緒に暮らしていると説明したら、恋人同士だと思われても仕方ないけど。
でも、私と石月さんなんて、どう考えても不釣り合いなのに。
「ゆきとトーゴは、やっぱりこいびとなの?」
その話を聞いていた祐一が、ぱぁっと顔を輝かせて私を見る。
「えっ!?」
動揺する私をよそに、祐一が勝手に納得して、わぁいとはしゃいだ。
「おんせんでトーゴがゆきにチューしてたから、そうかなぁっておもったんだぁ」
「ええっ!?」
石月さんが私にキスを!? そんなこと、知らない。
驚きに頬が熱くなって、手のひらで顔を覆った。
「ねちゃったゆきを、トーゴがおひめさまだっこしてね、おふとんの上にねかせてあげたんだよ。そのときおでこにチュってしてた」
ぎょっとして思わずおでこに触れる。
「えほんの中の、ねむるおひめさまにキスする、おうじさまみたいだったよ」
無邪気にそんなことを言われたら、動揺してどんな顔をしていいのかわからなくなる。
「ぼくがじーっと見てたらね、トーゴがふりかえって、こうやってゆびを口にあてて『しー』ってわらってた」
祐一はそう言って、ぴんとたてた人差し指を口元にもってくる。
「あらあら祐一くん。それ内緒ねってことだから、白井さんに言っちゃだめな話じゃない?」
園長先生が、微笑ましくてしかたないという表情で、笑いをこらえながらそう言う。
「そうなの? じゃあトーゴに、『ゆきにチューしたこと、ないしょなのに話しちゃってごめんね』ってあやまらなきゃ」
そう言った祐一に、慌てて首を横に振る。
「それ、言わなくていいから! お願いだから黙ってて!」
そんなことを言われたら、これからどんな顔で石月さんと話せばいいのかわからなくなる。
石月さんが寝ている私の額にキスをするなんて。
とても信じられなくて、自分のおでこをゴシゴシとこすってみた。