鬼上司は秘密の恋人!?
 


私が寝込んでいる間、石月さんが家のことをしてくれた。
食事や洗濯、祐一の送り迎えも。

申し訳なくて何度も謝る私に、「仕事が暇な時期だったから」とぶっきらぼうに言うだけで、恩着せがましいことは何も言わなかった。

無愛想だからこそ、彼の優しさが伝わって、じわじわと胸の奥が焦げていく。
どんなに好きになっても、石月さんにとっては、迷惑なだけなのに。

すっかり風邪も治り、いつものように幼稚園へ祐一を送っていくと、園長先生に声をかけられた。

「白井さん! 白井さんの彼氏、すっごい男前ね!」

キラキラと顔を輝かせそう言われ、驚きで吹き出しそうになる。

「か、彼氏、ですか……!?」

一体なんのことだと目をむく。

「白井さんが風邪の間、祐一くんの送り迎えをしてくれた石月さん、一緒に暮らしてるんでしょ?」
「い、一緒には暮らしてますけど……」

なんだかものすごい勘違いをされてる気がする。
私は思わず冷や汗をかく。

「最近不審な黒い車をこのへんでよく見かけるって情報があって、幼稚園も気をつけててね、祐一くんをお迎えに来てくれた時、失礼だとは思ったけど色々身元をたずねたのよ」
「そうなんですか」
「そうしたら名刺と免許証を出して、白井さんの上司だってことと、一緒に暮らしてるんだってことをきちんと説明してくれてね。祐一くんも石月さんが迎えにきてくれたことをすごく喜んでたから、素敵な恋人だねって、先生たちみんなで噂してたのよ」

そんなことを言われ、顔が赤くなる。

< 139 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop