鬼上司は秘密の恋人!?
 
『月刊ステートメント』の編集部で働き始め、一週間がすぎた。

仕事の内容は簡単な雑用ばかりだからすぐ覚えることができたけど、なにせ言いつけられる仕事以外にすることが多い。

たとえば、放っておけば山になったまま放置される郵便物や宅配物。
それぞれの編集者が自分に必要なものだけを山の中から引き抜いていくからすぐに雪崩が起きて、重要な書類が行方不明になる。

資料棚から持ち出した本をそのままどこかに放置して、次に他の人が使うときに、編集部の島中をひっくりがえして探し出すことになったり、印刷会社に戻すゲラを適当なボックスに放り込んだせいで、社内便と紛れて社内を大捜索したり。

ビジネス情報誌なんて固い雑誌を作っているはずなのに、みんなおおざっぱで適当すぎる。
雑用の間に、そんな問題が置きないようにとフロア内をこつこつ整理整頓していると、どうしても時間を忘れて熱中しすぎ、気づけば定時を過ぎてしまっていることもしばしば。
そのたびに石月さんに怒鳴られる。

「白井ィ!」
「はいぃっ!」

資料用に定期購読している雑誌の整理をしていると、不機嫌な声で名前を呼ばれ、恐怖で私は飛び上がる。

「いつまでちまちまやってんだ。さっさと昼休憩入れ」
「あ、はい! すいません!」

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