鬼上司は秘密の恋人!?
 
石月さんに怒鳴られ、慌てて中途半端になった雑誌をフロアの隅に置き、編集部の中を見回す。
フロアに残っている編集者は数人。
書類が積まれたデスクでおにぎりをかじっていたり、仕事をしていたり。
編集部にいるメンバーをチェックして給湯室に向かった。

人数分のお茶をのせたトレイを持って、もしよかったらとお茶を渡していく。
みんな「ありがとう」と笑顔で受け取ってくれたけれど、ひとりだけ思い切り不機嫌な顔をする人がいた。
それはもちろん石月さん。

「あ、お茶、いりませんでしたか?」

眉間に深いシワをよせる彼に、お茶の入ったマグカップを差し出しながら恐る恐るたずねると、大きなため息をつかれた。

「お前、ほんと鬱陶しい」
「……すいません」

鬱陶しいって、ほんとひどい。いらないならいらないって言うだけでいいのに、そんな冷たい言い方しなくても。

「休憩時間なんだから、他人なんて気にしないで休憩しろよ」
「自分のお茶を入れるついでだったので。……迷惑でしたか?」
「別に迷惑じゃねーけど」

落ち込む私にそう言いながら、私の差し出したマグカップを受け取る。
あ、お茶は飲んでくれるんだ。
じゃあ、いちいち怒らなくてもいいのに。
ほんとこの人の考えていることはよくわからない。

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