鬼上司は秘密の恋人!?
石月さんは無言でお茶を一口飲み、細くため息をつく。
デスクについた腕に顎を載せ、ちらりと横目で私を睨む。
その迫力に私は小さく飛び上がった。
「石月チーフ。すぐそうやって白井さんをいじめないでくださいよ」
背後から声をかけられ振り返ると、眼鏡をかけた徳永さんが笑っていた。
「いじめてねぇよ」
「こんなに気がきいて真面目に仕事してくれる子はなかなかいないんですから、石月さんのせいで白井さんが辞めちゃったら編集部の全員恨みますからね」
石月さんに向かって、笑顔でそう言う徳永さん。
その徳永さんの言葉に便乗して、同じフロアにある他の雑誌の編集部の人が面白がって「そうだそうだ! ゆきちゃんを虐めるなよ!」なんてヤジを飛ばしてくる。
不機嫌な表情の石月さんがふてくされて黙り込んだのを見て、私はこっそり吹き出した。
徳永さんはそんな私の背中をさり気なく押して、「さ、時間なくなるからお昼休憩していいよ」と言ってくれた。
「ありがとうございます」
「今日も手作りのお弁当?」
デスクで手提げバッグの中からお弁当箱を取り出すと、徳永さんが興味津々で覗き込んできた。