鬼上司は秘密の恋人!?
 
元々は九時から五時まで、土日は休み。という条件だったのに、つい仕事の夢中になって時間以上に職場に残ることが多くなっていった。
気づけばずるずると時間外の仕事を頼まれることが多くなり、祐一がいるから受けることもできずに断っていると、周りから文句を言われてしまうことが続いた。
そんな状況の中で、祐一が体調を崩して休まなくてはいけなくなって、どんどん職場での肩身が狭くなってしまった。

実の子ではない男の子をひとりで育てている。
それだけで、事情をよく知りもしない人に勝手な想像で悪口を言われたこともあった。

働きながらひとりで子供を育てることが、こんなに大変だとは思わなかった。
でも、仕事よりも祐一のことを一番に考えたくて、条件に会わない会社は辞めることにした。

そして働き出したこの職場。
面接のときに野辺編集長に正直に事情を話すと身寄りのない私に同情してくれて、必ず定時で帰れるようにしてあげるからと約束してくれた。
面倒な事情を抱えている私を、そうやって理解してくれる人は少ない。
だから、この職場で一生懸命働きたいと、精一杯頑張ってるんだ。

「仕事って、真面目にやる人にばっかり集中してくんだよなぁ。仕事すればするほど仕事が増えるって、すごい矛盾だよね」

黙り込んだ私を見て、徳永さんが空気を変えるようにおどけてそういう。
お弁当を食べながら徳永さんと小さく笑いあって箸を持ち直す。
そんな私達のことを石月さんが少し離れた場所から不満そうに眺めていた。


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