鬼上司は秘密の恋人!?
 
それにしても、こんなビルの隙間で石月さんはなにをしているんだろう。
不思議に思って首を傾げていると、建物の影でなにか小さなものが動いていた。

なに? おばけ!?

ぎょっとして飛び上がる私を見て、石月さんがまたバカにしたように笑う。

「だから、ビビリすぎ」
「いや、だって……。奥になにかいますよ!?」

恐怖のあまり石月さんの背中に隠れる。
しがみつくようにしてビルの影をのぞくと、小さなものはもそもそと動きながらこちらに近づいてきた。

ひぃ……。こっちにくる!!

ぎゅっと石月さんの着ているジャケットを握りしめ身を固くしていると、頭上から「ふはっ」と吹き出す声が聞こえ、頭に大きな手のひらが乗っかった。

「ほんと、怯えすぎだろ。よく見てみろ」
「え……?」

ぽんぽんと頭を叩かれ目を凝らしてみると、ビルの影から出てきたのは、ぶちもようの小さな子猫。
前足と後ろ足に靴下を履いているみたいな黒い模様が可愛い。

「わぁ……、猫だ……」

思わず声を上げしゃがみこむと、猫はよちよち歩きながら足元までやってきて、「ニィー」と小さく鳴いた。

「可愛い……!」

感動する私の横で、石月さんは「こんな小さい猫に怯えるって、どんだけ怖がりだよ、お前」と意地悪なことを言う。
ちょっとむっとするけど、今は猫の可愛さに夢中でそんなこと気を気にしてられない。

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