鬼上司は秘密の恋人!?
「はい、ママ。おみずです!」
アパートの出窓には、小さな写真立てがおいてある。
小さな四角い枠の中で笑う、由奈の写真。
祐一は朝と夜、その写真の前に水を入れたコップを置き、ママに話しかける。
今日はこんなことがあったよ、明日は幼稚園でこんなことをするよ。
お弁当に入っていたピーマンを頑張って食べたよ、帰る途中にカエルをみつけたよ。
写真に向かって今日の報告をする祐一を眺めながら、急いで夕食の支度をする。
一年前になくなった由奈のことを、祐一はどう思っているんだろう。
ちゃんと彼女の死を理解しているんだろうか。
あんな小さな身体で、こんなにつらい現実を、しっかり受け止めているんだろうか。
たまに寝ぼけて、『ママはどこ』と泣く時がある。『ママに会いたい』とぐずるときがある。
そんな時、どうしていいのかわからなくて、私は強く祐一を抱きしめて『私も由奈に会いたいよ』と繰り返す。
私も由奈に会いたい。
由奈のあの太陽みたいな明るい笑顔を見たい。
だけど、きっと由奈はお空の上から私達の事をずっと見ていてくれるから、お空の上の由奈を心配させないように、頑張って生きていこうね。
そう言うと、祐一は鼻をすすりながらも、うんと頷いてくれる。