鬼上司は秘密の恋人!?
「そんな言い方……」
「あ?」
私のつぶやきに、石月さんは小さく眉を上げる。
「家族とか、愛とかは、妥協なんかじゃ……」
私はたくさんの家族を失ってきたから、その大切さを知ってる。
妥協なんかじゃない。
利己的なんかじゃない。
もっと単純で本能的なもの。
ただそばにぬくもりがあるだけで、嬉しくて幸せで安心できるもの。
そういう代えがたい存在だ。
そんな気持ちを伝えたいのに、うまく言葉に出来なくて黙り込む。
そんな私を見た石月さんは、バカにしたように鼻で笑った。
「くだらねぇ」
低い声で、そう言われた。
何も言い返せなくて、胸のあたりをぎゅっと強く握りしめると、徳永さんが気遣うように声をかけてくれた。
「白井さん、気にしなくていいよ。石月さんはそういう人だから」
「そういう人って……」
私が顔をしかめると、徳永さんは小さく笑って、あきらめろというように首を横に振った。