鬼上司は秘密の恋人!?
スーパーで今日の夕飯の材料を買い、祐一と手を繋いでアパートへと帰る。
今日はなんだか車通りが多いな、なんて思いながら細い歩道を歩いていると、背後から大きなサイレンの音が聞こえてきた。
驚いて足を止め振り返る。
すると手を繋いだ祐一が「しょうぼうしゃだぁ!」とはしゃいで飛び上がった。
「本当だ。火事かな?」
サイレンを鳴らし走り去る真っ赤な消防車。
うちの近くじゃなきゃいいけど。
なんて思いながら歩いていると、どんどん騒がしく、人が多くなってきた。
風に乗って、口を覆いたくなるような焦げ臭いにおいが漂ってくる。
建物の隙間から見える夕暮れをすぎた夜空に、赤黒い煙が生き物のように登っていくのが見えた。
まさか、と思いながら、祐一の手を握った指に力を込める。
アパートに続く細い道が通行止めになっていた。
人の間から先をのぞくと、私の住むアパートから煙が上がっているのが見えた。
「うそ……」
思わず目を見開く。
固まった私の事を、祐一が不思議そうに見上げていた。
「ゆきー?」
煙を上げているのは、自宅の隣の部屋のようだ。
消防士の持つ太いホースから、勢い良く水が飛び出し火を消そうとしているのが小さく見えた。