鬼上司は秘密の恋人!?
家に帰ってから、「どうしてお友達とケンカしたの?」と優しく聞いてみたけれど、祐一は頑として口を開かなかった。
なにかを考えているように、黙り込んだまま喋ってくれない。
いつもは幼稚園であったできごとを、笑顔で報告してくれるのに。
「ケンカの理由は言えないの?」
なるべく優しく、そう思うのに、不安で口調がきつくなる。
祐一は驚いたようにこちらを見上げ、でもまた頑なに首を横に振った。
「いいたくない」
「どうして?」
「ゆきには、いえない」
祐一に目をそらされて、ひどく傷ついている自分がいた。
「私が、ママじゃないから……!?」
強張った声でそう言うと、祐一はうつむいたまま小さく頷いた。
ショックで心臓が苦しくなる。
きっと私じゃなく由奈になら、なんでも正直に話すんだろう。
私じゃダメなんだ。私じゃ祐一の気持ちを分かってあげられないんだ。
手で口を覆って言葉を詰まらす私を、祐一はちらりと振り返り、気まずそうにまた目をそらした。
「ごめんね、そばにいるのがママじゃなくて、私で」
小さな声でそう言うと、祐一が首を傾げてこちらを見上げた。