鬼上司は秘密の恋人!?
 
黙々と手を動かし、いつものように料理をしているうちに、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。

祐一にとって私はまだまだ頼りない保護者だとしても、頑張らなきゃ。
こんな些細なことで落ち込んでいてどうするんだ。

そう自分に言い聞かせる。

ご飯も炊け料理も大体出来上がった頃、部屋の中がしんと静まり返っていることに気がついた。

「祐一?」

そういえば、祐一がやけに静かだけど、どうしたんだろう。
そう思いながら名前を呼んだけど、返事がない。

また遊んでいる最中に眠ってしまったのかな、と首を傾げながら和室を見回したけれど、姿が見えない。
どこにいってしまったんだろう。

トイレ、お風呂場、石月さんの書斎。
名前を呼びながらひとつひとつの部屋を見て回る。
庭を覗いても見つからなくて、不安で鼓動が早くなる。

「祐一、どこなの?」

嫌な予感をごまかしながら、廊下を歩く。
玄関の引き戸が少し会いているのを見て、思わず口を覆った。
慌てて玄関のたたきを見る。
いつも揃えておいてある、小さな靴がなくなっていた。

……ひとりで外に出たんだ。

血の気がひく。
慌てて靴に足をつっこみ外に出た。

私が怒ったから、祐一が家を出てしまったんだ。
後悔と罪悪感に、泣きそうになりながら通りを見回した。

「祐一ー!?」

声を振り絞って叫んだけれど、返事はなかった。

< 63 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop