鬼上司は秘密の恋人!?
どうしよう、ひとりで家を出てしまうなんて。
もし誘拐でもされてしまったら……、交通事故にでもあったら……。
「どうしよう……っ」
青ざめながら走り出す。
電柱の上から古い街灯が、ぼんやりと夜の街を照らす。
人気のない住宅街に、自分の靴音がやけに大きく響く。
息が上がってうまく足が前に進まない。
膝がガクガクと震えた。
突然事故で死んでしまった両親や姉。
もし祐一も同じように、突然私の前から消えてしまったら……?
そんな不吉な想像に、泣き叫びたくなる。
「祐一っ……」
祐一の名前を呼びながら、がむしゃらに歩き回った。
動転してどこを探せばいいのかもわからない。
歩き回っているうちにここがどこかも、石月さんの家がどっちの方向だったかさえ自信がなくなる。
見たことのない路地で、途方にくれて立ち尽くした。
不安で心細くて泣きたくなる。
でも、それ以上に、祐一のほうがずっと不安な気持ちでいるに決まってる。
どこかで祐一が泣いている気がして、必死に声を張り上げた。
「祐一……っ!」
そのとき、ぐっと乱暴に腕を掴まれた。
驚いて顔を上げると、息を切らした石月さんが、険しい表情で私の腕を掴んでいた。