鬼上司は秘密の恋人!?
その後石月さんに代わり、少し園長先生と話をする。電話を切った石月さんは、大きく息を吐いて口を開いた。
「多分、アパートだ」
「アパートって、私と祐一が住んでいた?」
「歩ける距離だろ?」
「そうですけど……、でももう火事で取り壊されて、中には入れないと思うんですけど」
「とりあえず、行くぞ」
石月さんはそう言って、私の手を取った。強引に握り、大股で歩きだす。
まるで引きずられるようにその後を追いながら、つながれた手を見る。
私と同じくらいの大きさだった由奈の手とも、小さくて柔らかい祐一の手ともまったく違う。
大きくて骨ばった頼もしい手のひらだった。