鬼上司は秘密の恋人!?
三人で家に帰り、歩き疲れた祐一は、ご飯とお風呂を済ませた後、すぐにぐっすりと眠ってしまった。
リビングのソファで本を読む石月さんに改めて、「今日は本当にありがとうございました」とお礼を言うと、石月さんは視線を本から上げ、少し黙り込んだ。
きっとこれ以上なにか言うと、また鬱陶しがられるかなと思い、乾いた洗濯物をリビングに持ってきて畳みだす。
カーペットの上に正座して洗濯物を片付けている私の姿を、石月さんはじっと見ていた。
「白井。お前サンタクロースって、何歳まで信じてた?」
唐突にそう聞かれ不思議に思って顔をあげると、石月さんはソファ背もたれに肘を置き、リラックスした姿勢でこちらを見ていた。
「サンタクロース、ですか……? 小学校の、五年生くらいまででしょうか。周りの友達との会話で、薄々気づいたと思います」
戸惑いながら答えると、「そうか」と石月さんは笑った。
「俺は五歳の誕生日に、サンタなんていねぇんだって知った」
「五歳……?」
今の祐一と同じくらいの歳だ。サンタがいないと知るには、早すぎる気がして首を傾げた。
「俺誕生日が十二月二十四日で、その日には誕生日のプレゼントとクリスマスのプレゼントを両方もらえた」
石月さんの言葉に黙って頷く。