暴走族に恋をする。
「………ところで、今日は用事があったんじゃないんですか?」
「うん、あるよ!
でも俺もこっちだし、途中まで一緒に行こうよ!
急いだから時間もあるしね。」
ふーん、そっか。
なんでだろう。
助けてくれたのが大津くんで
………今、大津くんが一緒に歩いてる
たったそれだけのことなのに、私の心はどうしてこんなに喜んでいるんだろう。
「あのさ、昨日のデコピンなんだったの?」
「あー、あれは…
なんか…私って敬語が癖なんです。
だけどそれを黒崎くんに許してもらえなくて、敬語つかったらデコピンなんです。
しかもそれ、黒崎くんだけではなくて他の人もデコピンしてくるんです。
だから今すっごい頑張って敬語直してて…
………だから、大津くんと二人の時が一番気が楽です。」
「え!うそ!ほんと!?
………でも最初の頃はタメ口だったよね?」
「最初の頃は本当に心の底から嫌いだったからです。」
「う…またグサッと来た…」
「あ、そこのファミレスです。
黒崎くんたちがいるの。」
「俺も行く。少し時間あるし。
急いでよかったー。」
大津くんは、私の腕を掴んだまま、ファミレスへと入っていった。
「あ、いたいた。」
お店の奥に、目立つ髪の毛の集団がいて、すぐに大津くんはそこに歩き出した。
「よ。」
「あれ、快斗私服じゃん。」
「うん、まぁねー。
そんなことより蓮、ちょっと聞きたいことあるんだけど。」
「あ?なに?」