暴走族に恋をする。



「桜子ちゃんもいい名前だよね。」


「え?」


………そう、かな…
私はこの名前、あんまり気に入ってはいないから………


「だってさ、桜だよ?
ぴったりすぎるじゃん。綺麗でさ。
でも実は腹黒い部分もあったり?
桜もさ、本当は汚い花びらもあるわけだし
そういう桜子ちゃんの人間らしいところと、桜の花らしいところ、似てると思うけどね。

花言葉の精神の美とか桜子ちゃんにぴったりすぎるでしょ。」


「そう、ですかね…」


「うん。
いい名前だよ。」


「………ありがとう。」


そんな風に言われたことが初めてで、素直に嬉しくなった。
名前を誉められることがこんなに嬉しいものかと、私はこの時はじめて知った。


「あ、笑ってる。
本当に笑うと可愛さ増すよね。」


そういう快斗の顔もすごく優しくて、こちらがとろけてしまいそうなくらい
素敵な表情をしていた。


「………本当に、優しく笑うんですね。」


「だって桜子ちゃんのこと好きだからね。」


………す、好きって…


「よく、そんな平然と言えますよね…」


普通なら絶対無理だけどね………
こんなに私のことを好きだといってくれているのに、私はこの人に好きと伝えることが怖くて仕方ないのに。


「だって好きだから。」


「………怖くは、ないんですか?」



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