暴走族に恋をする。
「…快斗…?」
「桜子ちゃん…怪我は…?」
弱々しくそう言う快斗に、私は近寄った。
今度はお母さんの手を振りほどいて。
「私は大丈夫だから…
快斗は…平気?大丈夫?」
「大丈夫だよ、まだ麻酔も効いてるし…
ちょっと痛いけど…でも大丈夫だから、そんな泣きそうな顔しないで…」
擦り傷だらけの顔で、快斗は苦しそうに笑った。
「大丈夫よ。命の別状は本当にないから。
まだ痛いけど、すぐに元気になるから。」
おばさんも快斗を見ながら、優しくそういって
…また、安堵の涙が溢れてしまった。
「…快斗、ごめん…」
「謝んなよ…言ったじゃん…
俺は、桜子ちゃんに笑っててほしくて庇ったんだから…」
「快斗……」
「……きっと、それはお兄さんも一緒だよ。
桜子ちゃんが大事だから、桜子ちゃんが守れるなら死んでもいいって
俺、本気で思ったから…
…だから、もうお兄さんの死に責任感じるなよ…
龍一には罰が下る。
そろそろ解放されてもいいんだよ…」
「……快斗…ありがとう…」
「桜子ちゃんのお母さん…
俺、こんなんだけど…でも本気で守りたかったから…
本当に、庇ったこととか…怪我したこととか全然後悔してないから…
きっとそれは秀一さんも一緒だから…
だから…もう、桜子ちゃんを責めないで…」
快斗はベッドに寝たまま、お母さんに向かってそういった。
そしてその視線は、すぐに私へと戻ってきた。
「桜子ちゃん…自分の思いは言葉にしなきゃ、伝わらないよ…
前に進む勇気、桜子ちゃんなら持ってるから…」
快斗はそういって、私の手を握り目を閉じた。
…でも、私の手を握る快斗の手の暖かさと力強さは、私の手に届けられていた。
「…お母さん…」
勇気を出せ。
そんな快斗からのメッセージに、私はやっとお母さんと向き合った。