暴走族に恋をする。
……なんていうか…
あの日、この男はこの猫を見殺しにするのかって思ったけど、この猫を救ったのはこの男だった。
そう思うと、私がこの猫にしてあげたことなんか、本当に小さなことで…
本当に、大津くんのことを見直した。
「やっぱ、ちゃんと覚えてんのかな。
さくら、天宮さんにめちゃなついてるし。」
この猫……さくらが私の膝からお腹へ移動してきて、私が落ちないようにおしりの下を支えると、私の腕に身を任せた。
その姿が本当に可愛くて、自然と笑みが溢れていた。
「…やっぱ、笑った顔は格別にかわいー。」
「……だから、その他人を喜ばせるための「嘘じゃないよ。」
「……え」
「嘘じゃないって。
俺、誰かのことこんなに可愛いって思ったの初めてだもん。」
そういう大津くんの表情は本当に穏やかで、あの大声の大津くんと同一人物だとは思えない表情をしていた。
だから、余計に反応に困った。
「……照れてる桜子ちゃんも可愛い。」
「なっ…別に照れてなんか…」
ただ、いつもの大津くんとは別人で…優しく微笑んでる顔がかっこよく見えて仕方ないんだ。
「ね、やっぱり名前で呼ばせてよ。
天宮さんなんて呼びにくいし、俺"桜子"って名前、好きだよ。
なー、さくらも桜子ちゃんと名前が似てて嬉しいもんな。」
大津くんはそういって、さくらを抱き上げて、「にゃー」と鳴くさくらに、満面の笑みを浮かべた。
「………じゃあ、大声で呼ばないで。」
「え、それだけ…?」
「うん。」
「…わかった。
やったねー!」