恋は世界の片隅に【短編集】


震える手で花束を受けとり、春くんの顔を見上げた。


「お前、自分の誕生日忘れてただろ」



……そうだ。


確かにあたしは、今日で17才の誕生日を迎える。


すっかり忘れてたよ。

だって、春くんとのことで頭がいっぱいだったから。



「それ、ちゃんと17本あるから」


「…春くん、なんで?」



言いながら、あたしの目からは大粒の涙が溢れてくる。

それを指で優しく拭いながら、春くんは言った。



「友梨、ごめん。俺は、お前が良かれと思って秘密にしようって言ったんだ。
みんなにからかわれたり、質問攻めにあったりして、友梨を困らせたくなかった」


「春くん……」


「でも、それがかえって友梨を不安にさせちゃってたんだな…。
だから俺、決めたんだ。

これからは、常に友梨の側にいる!んで、俺がずっと守るから!」



いつの間にか、あたしの視界は涙でぐちゃぐちゃになっていた。



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