未来郵便 〜15年越しのラブレター〜
葉山はほぼ毎日のように電話やメールをくれた。

長期休暇には会いに帰国してきてくれたし。

会いたい、触りたい。
好きだ。

甘い言葉をいくつもくれた。


それでも、寂しくて毎日のように枕を濡らした。

一層の事、仕事を辞めて葉山を追い掛けて行っちゃおうかなって思った事もある。


赴任先の仕事の関係で期間が半年延長になり、三年半の海外赴任を終えた葉山は若くして昇進。

そんな独身エリートを女子社員が放っておくはずがなく。

本社営業部に戻ってきてからというもの、月に何度も告白やらデートの誘いを受ける葉山。

もうヤダ!葉山なんてキライ!

私のヤキモチで何度も葉山を困らせた。

それでも葉山は、俺には綾音だけだよって私の全てを受け止めてくれた。


そして、帰国して半年が経ったある日。
夜景が綺麗なホテルのレストランで、突然のプロポーズ。


『ずっと俺の隣で笑っててほしい』


そう言って、目の前で開かれたハート型のケースの中には光るダイヤモンドの指輪があった。

涙が溢れた。
心が震えた。


思い返せば、私達は離れ離れだった時間の方が長かった。

だけど、胸の中にいつも葉山がいて。

私の人生は葉山一色だった。


もう何年も一緒にいるのに、まだ葉山の隣りにいるときゅんと胸が震える。

葉山が好き……大好き。




牧師が誓いの言葉を述べる。

ああ、私。
この人と生きていくんだ。


健やかなるときも。
病めるときも。
喜びのときも。
悲しみのときも。

富めるときも。
貧しいときも。

葉山を愛し、敬い、慰め、助け。

命ある限り、真心を尽くしていくんだ。




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