狼少年、拾いました。
大きな荷物を抱えた男が数人、店先で店主と値段交渉をしているようだ。

 (妙に野暮ったいな…。)

町の者に比べて日に焼け、手はタコやらマメやらでごつごつとしている。

それだけなら農民か何かだろうと結論づけるところだったが、ここまで来る間に近くに畑などは見当たらなかったし、肌や手ではない彼らの別の何かがリーガの気を引いた。

 武器を携えた見慣れない風貌の、しかも武人の自分たちが向かってくるのを見て、その男たちは顔を強ばらせた。

ますます怪しい。

リーガは男たちの持っている反物や食料を示して尋ねた。
 
 「その荷物はどこへ運ぶのだ。」

 一番年上らしい白髪混じりの男が警戒した表情で答えた。

 「俺らの村ですよ。」

 「どこにある。」

 ちらりと男の顔に動揺の色が見えた。

後ろにいる男の仲間も何人かが顔を見合わせている。

 怪しい。

 「あの山です。」

 男はこちらの目を見ずに町の南を指差した。

青々とした山が空を切り取るようにそびえている。

「黒い髪で黄色い目の少年がお前らの村を訪ねてこなかったか?」
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