狼少年、拾いました。
男達は顔を見合わせた。

「ないです。」

 「そうか。ありがとう。言っておくが嘘をついたとしても直ぐに判るからな。」

 釘をさしてから礼を述べると、男たちは店の前から慌ただしく去った。

 彼らは結局何も買っていない。

見られては困るものがあって、それをリーガたちが調べに来る前に隠してしまおうと急いで村へ戻った可能性は充分考えられた。

 「行くぞ。」

 「えーっ。まだ歩くんですか。どうせいないですよ。」

 部下が不満そうな声を漏らしたが、それに構わずリーガは足を進めた。
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