次期社長と甘キュン!?お試し結婚
 熱い。なんでこんなに熱いのか、羞恥心か気持ちが昂ぶっているからなのかは分からない。もしかして血が沸騰しているのかもしれない。

 慣れた手つきでパジャマを脱がされて、恥らっている暇もなく、私は自分の肌を彼の前にさらすことになってしまった。

 あまりにも無防備な状態に心許なくて、なんだか泣きそうになる。直人はそんな私をあやすかのように頭を撫でて、たくさんキスをしてくれた。

 どういう展開が待っているのか、分かっているようで分かっていない。上半分を脱いだ直人の体をまじまじと見つめると、ほどよく引き締まって筋肉のついた体に、つい手を伸ばしてしまった。

 するとその手に指を絡めるようにして握られる。結果的に触れるの遮られてしまった。

「ごめ、ん。嫌?」

 謝罪の言葉と共に切れ切れに尋ねると、直人は私の手を握ったまま、上に覆いかぶさってきた。その顔は意地悪く、そして楽しそうだ。

「触られるのも悪くはないけど、まずは晶子に触りたい」

 そう言って握っていた手を口元に引き寄せ、手の甲に口づけが落とされる。その姿に見惚れていると、彼の手が脇腹に触れて、私は驚きの声をあげてしまった。

 そのまま、ゆっくりと手を滑らされて胸元を触れられたときは、自分のものとも思えないような甘ったるい声が漏れそうになる。直人は触れる手を止めずに、さらには唇を肌に寄せられ、私は全身が震えた。

「ん」

 握られていた手は離してもらえないまま、ベッドに縫いつけられて、空いているもう片方の手で顔を隠す。
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