次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「理由を聞いてもかまいませんか?」
三島さんの表情はかすかに笑顔をたたえたままだった。
「経営理念の違いだよ。宝木社長にも、直人くん自体にも問題があるわけじゃない。ただ、そちらは代々続く大きな会社で、抱える社員数も会社規模も、なにもかもが、うちとは違いすぎる。うちは元々有限会社で、父の代から始めた小さな中小企業だ」
「そんなっ」
なにかを言おうとする彼に対し、三島さんは持っていたグラスを少しだけ揺らすと、残っていた中身を一気に呷った。
「後ろ盾としては、申し分ないとは思っているよ。ただ実際にね、大手と手を組ん事業を拡大しようって矢先に土壇場で掌を返されたこともあったんだ。社員にリストラを宣告しようかと悩んだことも」
どこか痛むかのような表情の三島さんに、こっちまで苦しくなってくる。
「お祖父さまや君は、人員整理を命じる側で直接、告げなければならない人間の痛みなんて分からないだろうね。利益にならないと踏めば、あっさり切り捨てる。もちろん、会社の成長には人情ばかりを重んじてはいられない。けれど、あのときは本当に辛かった。……そんなとき、ある映画を見てね」
映画、という言葉に私は思わず反応してしまった。三島さんはそのまま続ける。
「直人くんは知らないだろうな。人員削減をするように異動させられた部長が、誰一人辞めさせられないって本社に内密で新たな開発に臨むんだけどね」
三島さんの表情はかすかに笑顔をたたえたままだった。
「経営理念の違いだよ。宝木社長にも、直人くん自体にも問題があるわけじゃない。ただ、そちらは代々続く大きな会社で、抱える社員数も会社規模も、なにもかもが、うちとは違いすぎる。うちは元々有限会社で、父の代から始めた小さな中小企業だ」
「そんなっ」
なにかを言おうとする彼に対し、三島さんは持っていたグラスを少しだけ揺らすと、残っていた中身を一気に呷った。
「後ろ盾としては、申し分ないとは思っているよ。ただ実際にね、大手と手を組ん事業を拡大しようって矢先に土壇場で掌を返されたこともあったんだ。社員にリストラを宣告しようかと悩んだことも」
どこか痛むかのような表情の三島さんに、こっちまで苦しくなってくる。
「お祖父さまや君は、人員整理を命じる側で直接、告げなければならない人間の痛みなんて分からないだろうね。利益にならないと踏めば、あっさり切り捨てる。もちろん、会社の成長には人情ばかりを重んじてはいられない。けれど、あのときは本当に辛かった。……そんなとき、ある映画を見てね」
映画、という言葉に私は思わず反応してしまった。三島さんはそのまま続ける。
「直人くんは知らないだろうな。人員削減をするように異動させられた部長が、誰一人辞めさせられないって本社に内密で新たな開発に臨むんだけどね」