コミュ障なんです!
仕方なく会議スペースに行くと、三浦さんの向かいには先ほどの男の人が座っていた。
なんとなく見覚えがあるなぁ。
確か営業さんで、三浦さんの同期。癖のある髪がふわっとしていて、なんだかいつもふにゃっと笑っている感じの人。営業成績が上半期一位だったって社内報にも載ったことがあるはず。全体的に色素も薄い感じで、日本男児とは似ても似つかぬふわふわ男。
私はどこに座ったらいいかわからず、机の脇に立ち尽くしていた。
「彼、わかるわよね。営業部の永屋(ながや)くん。急で申し訳ないんだけど、これから彼に同行してくれない?」
「は? 同行って?」
私の怪訝な顔に、永屋さんとやらはにっこりと笑みを浮かべて立ち上がる。
「営業部の永屋です。一緒に仕事するのは初めてだよね」
目の前に差し出される手。
何? 握手? なんで?
別にお客さんでもないのに握手とかする?
「えっと」
戸惑っている私の手を掴んで勝手に握手を終わらせると、今度はニコニコ笑いながら私を隣に座らせる。
え? こっち?
座るなら私、三浦さんの隣がいいんですけど!
なんなの、このにこやかだけど押しの強い感じ。
「今クライアントとあと一歩で契約ってところまで来てるんだ。細かいところは道々教えるから、頼むよ」
「いえいえいえ、それは……」
「頼むわ。私は会議に出なきゃならないの。あなたがやりたくないって言った会議にね」
三浦さんの一言で、「無理です」と言おうとした私の口が固まった。
ここでそれを言う?
断りづらくなるじゃない。