コミュ障なんです!
そうなのかな。
ていうか、私にだってわからないのに、何で永屋さんは自信満面に言い切れるの。
「そんなこと、なんで永屋さんにわかるんですか」
「それを聞いちゃう? 言ったじゃん、俺は……」
私の頭と肩を押さえる温かい手。これでもかっていうくらい強烈に、永屋さんを意識する。
「君が好きなんだから」
胸の奥が、きゅうっと軋んだ音を立てた。
(好かれるってことは、こんなに幸せなこと?)
丸ごとの私を理解してもらえたような安堵感に力が抜けて、自然に永屋さんの胸に寄りかかってしまった。
少しあふれてしまった涙を隠すために眼鏡を少しずらして目元を押さえる。声も出せないや。泣いてるのばれちゃう。
何してるんだろ、私。ここは会社なのに、まるで抱き着いちゃったみたいなになってる。
彼は振り払うこともなく、私の頭を撫でてくれている。
陰になっているところとはいえ廊下なのに、こんなところ見られたら、誰になんて言われるかわからない。
でも今は、温かくて安心できて。この人から離れるのが寂しくて仕方ない。
ダメだって。私じゃダメなんだって。
そう思うけど気持ちは止まらない。認めざるを得ない。
私、永屋さんが好きなんだ。