コミュ障なんです!
私は調子に乗って思いついたことを言い並べてみた。
「今のプログラムって、機能が部品化してあって組み合わせていく感じなんです。せっかく既存システムもうちで作っていただいているのなら、これをこのまま部品化して利用して、さらに拡張機能を付けるっていう形にしたほうがお安くできると思います」
「それって簡単?」
「部品化の作業はありますが、一から作るより早くできると思いますよ」
「それいいな。そこの説明、客先でしてもらえる?」
「それは無理です!」
思わず資料を膝にたたきつけてしまった。
永屋さんが基本のにこやか顔がこわばっている。
しかしさすがエリート営業。二度瞬きしているうちに再び笑顔を復活させた。
「今俺に説明できたじゃん。お客さんにも同じように言えばいいだけでしょ?」
「でも、お客様は専門知識がない分もうちょっと詳しく言わなきゃいけないし。そしたらきっとうまく言えません。資料に起こせって言われればできます。……時間かかりますけど」
「大丈夫だよ。俺もフォローするし」
「できませんー。そもそも初対面の人と話すとか嫌です!」
永屋さんの口元が引きつり始めた。
「仕事だろ、やれよ」
口調もなんか変わったわ。怖い。
「無理です」
どうして私ってこう人を怒らせるのが上手なの。
こんなにこやかな人さえ不快にさせるとか、ある意味才能だとしか思えない。
もう目を合わせるのも嫌。
眼鏡をずらしてうつむけば、視線が合わなくても違和感ないだろう。
はーっと深いため息が聞こえる。
私に向ける、失望の音。こんなの何回聞いただろう。
「わかった。じゃあ君にできることをしてもらおう。紙になら書けるんだろ?」
「え……? あ、まあ」
「つたなくても話すのと、その場で客を待たせながら書くの。どっちがいいか自分でやってみればいいよ」
……あら?
なんだか暗黒的なほほえみ。
さわやかなエリート営業はどこに行ったの?
「言っておくけど、俺の営業成績下げたら責任とってもらうからね」
冷たい声に、私の背筋まで凍るようです。