イケメン富豪と華麗なる恋人契約
「いい目だ。そういう目で見られると、一人前の女に見えますね。だが中身は……男に触れられたのも初めてのお嬢ちゃんだ」


一瞬で頭に血が昇った。


「なんで、そんなこと言うんですかっ!? 沖さんは……わたしのことが、嫌いなんですか? でも、初めて会ったのに」

「お会いしたのは初めてですが、あなたのことはいろいろと調べさせていただきました。ですから、私には芝居をする必要はありませんよ。あなたの本性は知っていますので」

「はぁ?」


本性とはいったいなんのことだろう。
わけがわからず首を捻る日向子のことを、千尋は嘲笑うように見ている。


「望月の社長が祖父であることは、あなたもご存じだったはずだ。私は証拠の書類を持っていますので」


日向子はビックリして目を丸くする。


「な……なんですか、それっ!? そんなものがあるんなら、わたしにも見せてください!!」

「ここにはありません」


即答されると、どうにも嘘っぽい。
すると千尋はニヤリと笑い、ポケットからアイスグレーのハンカチを取り出して、日向子に向かって差し出した。


「とりあえず、涙は止まったようですね」


言われて初めて気づく。
いつの間にか、彼に対する怒りで頭の中がいっぱいになっていて、自分が大泣きした理由すらあやふやになっている。


「け、けっこう、です」


自分のハンカチを探すが……。


(あぁ、バッグの中だった)


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