イケメン富豪と華麗なる恋人契約
「無理です、絶対に無理! そんな、そんな社長なんて……」
そこまで言って、日向子はハッとした。
「あの……参考までに、聞いてもいいですか? わたしが相続する財産って、いったいどれくらいあるんでしょう?」
望月グループの社長ともなれば、相当な財産があることくらい、庶民の日向子にもわかる。しかし、法定相続人は日向子ひとりとはいえ、これまで祖父を支えてきた身内の人がいるはずだ。会社や不動産をはじめとした大きな財産を相続させる人間は、遺言書にきちんと名前を記しているに違いない。……という、日向子の予想は見事に外れた。
「現預金、不動産、有価証券、美術品等々……相続税の評価額から個人債務を引いて、ざっと八十億円といったところでしょうか」
それを日向子ひとりで相続するので、相当な額の相続税が課せられる。現預金だけではまったく足りず、処分可能なものは処分するしかないようだ。その辺りの費用の捻出は、専門家に任せることになっているという。
「グループの持ち株会社が望月陶器で、その持ち株会社の株を九割所有しているのが、先代社長になります。あなたが財産を放棄するということは、グループ消滅の危機、ということです――おわかりいただけましたか?」
日向子はめまいを感じて、その場に倒れそうになる。
「あなたが社長の椅子ごと相続してくださるなら、暴行罪の件はなかったことにしましょう」
「ご、ご自分の、セクハラの件は棚上げですかっ!?」
「では、それは器物損壊罪と引き換えで……だが、賠償金は請求させていただくことにします」
そこまで言って、日向子はハッとした。
「あの……参考までに、聞いてもいいですか? わたしが相続する財産って、いったいどれくらいあるんでしょう?」
望月グループの社長ともなれば、相当な財産があることくらい、庶民の日向子にもわかる。しかし、法定相続人は日向子ひとりとはいえ、これまで祖父を支えてきた身内の人がいるはずだ。会社や不動産をはじめとした大きな財産を相続させる人間は、遺言書にきちんと名前を記しているに違いない。……という、日向子の予想は見事に外れた。
「現預金、不動産、有価証券、美術品等々……相続税の評価額から個人債務を引いて、ざっと八十億円といったところでしょうか」
それを日向子ひとりで相続するので、相当な額の相続税が課せられる。現預金だけではまったく足りず、処分可能なものは処分するしかないようだ。その辺りの費用の捻出は、専門家に任せることになっているという。
「グループの持ち株会社が望月陶器で、その持ち株会社の株を九割所有しているのが、先代社長になります。あなたが財産を放棄するということは、グループ消滅の危機、ということです――おわかりいただけましたか?」
日向子はめまいを感じて、その場に倒れそうになる。
「あなたが社長の椅子ごと相続してくださるなら、暴行罪の件はなかったことにしましょう」
「ご、ご自分の、セクハラの件は棚上げですかっ!?」
「では、それは器物損壊罪と引き換えで……だが、賠償金は請求させていただくことにします」