難波少女、千佳

「みんな~、並んで!!ちゃんと、並ばな行かれへんし。早よしてっ」



と、注意するうち。学代として、向いてない!?結構。
なーんて、注意してんのはうちじゃなくて男子学代の爽君。



うちは、そんなんしてる余裕なし。だって放心状態やもん。チラリと爽君を、盗み見した。
それに気づいたのか、ニコって笑った。


わかった、みんなこの笑顔に落とされるンだ。



綺麗に整った鼻、思わずキスをしたくなる唇、吸い込まれそうな黒い目。
すべてに引き込まれそう。





あかん、あかん。見とれてる場合じゃないしっ
春ちゃんはこの人が好きやねんで。うちは、キライ。



でも、やっぱり見てしまう。
こんなん春ちゃんにバレたら、傷つくやろなぁ。



あぁっ、諦める。この人は惚れたらアカン。
胸の奥にしまっとこ。ごめん、春。少しでも一目ぼれしそうやった。




「・・かちゃん、千佳ちゃん!!」



気がつくと、爽君がうちのことを心配して覗きこんでいた。



「へ・・?」


なんとも、間抜けな声が出た。
ばっと、口を押さえた。こんなの、アホ丸出しじゃん。


「おもろいなぁ、千佳ちゃん。ってか、可愛すぎでしょ。」


「え!?」


不意打ちに言われたので、ドキっとしてしまった。


「顔赤い~可愛い♪」


と、爽君は冷やかしてくる。


「う、うるさい。ちゃんと校長せんせの話聞かなきゃ。」


ちゃんと、座りなおして先生の話を聞いてるフリをした。
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