君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
誰も言わなかったことを、私が言葉にしたからじゃないかな。
時期もちょうど重なるし。
そんな相手と作業するの、やっぱり気まずいって思ってる?それとも、もう気にしてない?
伊織君が普段通りの態度で皆と話して笑ってる理由は、私と同じだ。変な空気にする必要がないから。
あの日、私達の関係は確実に変わって、もう放課後会うこともないし会話もしていない。
でも今はこんなに近い距離で話題を共有して、相槌をうって。
まるで普通のクラスメイト、みたいな。
歯車がギーギーと音をたてて、かみ合っていないような感覚。
でも、慣れるしかないんだ。
放課後、他愛ない話をしてお互いの体温を感じていた関係は――――あのキスで、終わってる。