お兄ちゃんの所為
<FONT SIZE="1">



「っ、お兄ちゃんっ!!!!」


私の慌てた声にお兄ちゃんは
ふと顔を上げた。



『‥早く乗れ』


クールな兄。


『‥杏ちゃんも』

「あ、はい」


低い声の兄。


『うわ、すっげぇ』
『本物じゃん!!』
『‥かっこいいー』
『一喜さんだ‥』


有名人な兄。



私は言われるがままに
兄の車に乗った。



そして

「‥こーんのっっバカ!!!!!!!!!

学校にはあれほど来るなって
言ったじゃんかっ!!!!」


車内には私の罵声が響いた。



『‥だってさぁ〜、
急に真由の顔見たくなったんだから
仕方ねぇだろ〜!?』


「‥‥‥」


そんな兄は、
私の前では単なるシスコンだ‥




「‥お兄ちゃん、よくそんなんで
ヤクザなんてやってられるね‥」


こんな兄が強い人たちのトップに
立っているなんて
私には想像がつかない。


『こんなんだからやってられるんだ!!!
はっはっはー!!』



キモイっす。



我が兄ながら、キモイっす。




「‥‥‥‥」


『お、杏ちゃん久しぶりだな〜!!』


杏ちゃんに話し掛けるな、
杏ちゃんがバカになったら
どう責任取るんだ。


『お久しぶりです』


杏ちゃんは苦笑いで兄に返事をする。



そりゃそうだ、
みんなの前ではあーんなに
かっこいい兄が、
あーんなクールな兄が、


これじゃぁ、ねぇ‥?




</FONT>
< 3 / 9 >

この作品をシェア

pagetop