銀木犀
第6章 いたずら
スーツ姿のままユカを自宅へと送っていく。
途中、手土産のケーキを買いながら、セリフの打ち合わせをする。
僕らのテンションは異常なまで盛り上がり、怪訝そうに見る店員などおかまいなしに喋り続けた。
「いやな、横じゃダメなんだよ。こう斜め後ろに、いつもの自分じゃあり得ないくらい小さくなって、若干こっちに寄り添い気味に座るのな」
「うん! うん! で? で?」
「それでな……」
こんな風に僕らは、途中の車内でもずっと喋り続けた。
これから実行するいたずらに、ワクワクしながらドキドキしながら。