銀木犀
第3章 銀木犀

ユカ。


彼女はまわりのみんなにそう呼ばれていた。


いわゆる姉御気質というか、リーダー気質というか、端的に言えば、僕が一番苦手な長女タイプだった。


そういうタイプの人間は、やたらと人の世話を焼いて、あーしろこーしろとうるさい。


おまけに上からものを言うその言い草が、三人兄弟の真中に生まれた僕には、どうしても耐えられないのだ。


(こいつもどうせそんなタイプなんだろうな……チッ面倒くさい……)


「ああ、りょうたを待ってんだ……佐伯は?」


「フフ……私はトモコを待ってんの……」
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